花井盛彦の日記

HANAIプロダクション・NA花井盛彦手話教室 代表 手話アーティスト

盛彦コラム #30 ろう目線と聴目線の違い

手話表現において、表すものが同じであっても、
表現方法の違いというものがある。

例えば「書く」や「山」など、その単語そのものの違いではなく、
腕の角度や位置などによる表現方法、表現力の違いというものに差がある。

手話初心者でも分かる人にはその違いを敏感に感じるだろうし、
手話を習得したレベルの高い聴者やろうなら、
よりその表現の違い、差ががわかると思うよ。

日本語対応手話は、
表現力に乏しく表現がかたいので、見ればすぐにわかる。

でも、手話がまだまだの人から見ると、
単語をたくさん並べることは単語知識が豊富で、
日本語どおりでわかりやすく、手話が上手なんだと思う人がいる。

イメージを映像化するナチュラルな日本手話だと、
文法がわからず意味や内容が読み取れず「・・・???」となってしまう。

だから、日本語にこだわる聴者にとっては、
日本語の文法にそった日本語対応手話の方がわかりやすく、
その手話がキレイに見えるんだよ。

そしてわからないと手話はスルーして口話に頼り、
音声で内容を把握しようと手話は全く見ずに、
音声や単語だけで内容を理解しようとする。

そして頭の中で日本語としての理解ができると、
「あの人すごく手話が上手!」
って簡単に言うんだけど、それは違うとおもうんだよな。

この違いに気がつくことが、大切な事なんだよ。

いろんな人と会い、手話経験を積み手話レベルも高くなると、
その違いについては、一目瞭然だよな。

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イメージとしての手話力や日本手話の表現力を学びたいというのと
単語をただ日本語どおりに並べただけというのでは、
中身が全然違うんだよな。

オレは授業の中で、
生徒がその違いに気がついてもらう為に指導し、説明をしている。

これは、生徒だけの問題ではなく、指導者側の責任もあるんだと思う。

例えば、手話単語の表現と意味を覚えさせて終わりではなくて、

腕の動き、緩急、強弱によって、
手話はその単語の意味が変わってくるということ。

「遠い」「近い」という単語を学ぶ時には、
距離感の表し方も指導するべきなんだ。

「遠い⇔近い」というただの単語ではなくて、

「ちょっと遠い」と「遠い」、
「遠~~い」「遠~~~~~~~い」では、表現は違うよな。

緩急や強弱だけじゃなく、
表情、手の角度、動きなど、すべてにおいて手話は意味をもつんだよ。

「ちょっと」+「遠い」などのように、
単語だけをつなげて表現するのでは相手への伝わり方が違う。

日本語の文章どおりに単語をつなげていくよりも、
相手へイメージが伝わるんだよ。

そういう違いがあるという勉強こそが大事だと思うよ。

そしてそれに気がついてもらえるような指導をし、生徒たちが納得して、
そしてレベルアップしていってほしいなと思っているよ。


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