花井盛彦の日記

HANAIプロダクション・NA花井盛彦手話教室 代表 手話アーティスト

盛彦コラム #8 聲の形

週刊少年マガジンで連載中の『聲の形』ってマンガ知ってる?
今、人気あるみたいだな。
オレ、その話は聞いたことあったけど、まだ読んだことはなかった。
先日、カルチャーセンターの生徒さんから
『このマンガ読んだ?まだなら貸してあげる』と言われ、ありがたくお借りしたよ。
コミック1、2巻が出てて、今もマガジンで連載中。
3巻は春くらいに発売予定らしいよ。

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聲の形』のあらすじを簡単に説明すると、
主人公の健聴の少年とろうのヒロインとの出会いと成長の話。
この主人公の少年は、相手の心の痛みがわからない乱暴で暴力的でヤンチャな少年。
ろうのヒロインは優しくいつもニコニコしている。
少年は、そんな彼女が大嫌いでうとましく不快に感じる。
人の痛みがわからない彼から、回りの友達は離れていき、
ひとりぼっちになっていくんだ。
寂しさに悩み、周囲が離れていったことで自分を振り返り反省し、
心の痛みというものに気がつく。

成長し、再び彼女に出会い、少年の人生は変わっていく。
コミックでは、そんなところまでだ。
この先、ヒロインに惹かれていくのか、
お互い恋愛になるのかどうか、この先が楽しみだよ。

このマンガさ、もっともっと人気が出ると、
もしかして今後テレビドラマになるかもね。
そうなったら、ドラマの影響で手話が流行るかもな。

このヒロインさ、いつも笑顔を絶やさない。
心の中は悲しくても、いつもニコニコしてるんだよ。
ろうだからじゃなく、このヒロインの性格だ。

ろうだって、いろいろいるからね。
気が短い人、怖がり、優しい人、冷たい人、
性格は人それぞれなのが当たり前だよね。
健聴だってそうでしょ?
世界中のみんなそれぞれだよな。

最近はろうも普通校に通うインテグレーションも増えたよね。
ろうも健聴も同じ学校にいれば、恋愛に発展することは、
変なことではなくて当たり前なことだよ。
人として普通の事だよね。

昔はさ、ろうと健聴には壁があるように遠くに感じた。
なかなか出会うこともないし、
健聴の悪いイメージをもっていたり、文化、環境が違ったから。
でも、今はそういう環境もだんだんとかわり、出会いやすくなったよね。

変わったのは、テレビドラマや映画の影響が大きいと思う。
『愛してると言ってくれ』や、『星の金貨』『君の手がささやいている
オレンジデイズ』など。
『愛してると言ってくれ』が流行ったおかげで、
手話サークルやカルチャーセンター、手話教室などの手話学習者が増えたよ。
そのおかげで、ろうと健聴が出会いやすい環境に変わってきた。
もちろん良いことばかりじゃない。その中で問題も起こるよね。
友達、ろう協、サークル、恋愛関係など、
その中でぶつかったり、トラブルもいろいろあるよ。
文化や言語、手話の違い、日本語の違い、ズレ、環境、考え方の違いなど、
様々な問題が起こる。
健聴だって、白人や黒人、人種問題など、世界共通だよね。
文化や環境が違えば、ぶつかるのは当たり前だよ。
男と女ということでも考え方が違うしね。
その中で大事なことは、心や気持ちなんだよね。
相手に伝えたい、話したい、会いたいと思う気持ちが、
壁を越えられるんだよ。
その中で、人間力って大切だと思う。
相手に合わせられるかどうかだよ。
気持ちがなければ離れていくし、
気持ちがあれば必ず通じあえるんだよ。
その壁を越えるとより絆も強くなる。
待っていても何も得られないよ。
自分から動くことで変わることが出来るんだ。

テレビドラマや映画の影響力ってすごいよね。
手話ドラマはいろいろあるけど、
特に『愛してると言ってくれ』や『オレンジデイズ』はすごい人気だった。
オレンジデイズ』を見てから、手話に興味をもったって話、たくさん聞くよ。

初めは手話に興味がなくても、
妻夫木聡柴咲コウが好きでドラマを見はじめ、
手話を覚えたいっていう人もいたはずだよね。

その一方で、手話をよく知らない人が
このドラマを見ると、勘違いや誤解も多かった。
手話を理解してる人から見ると、
結構不満やクレームが多かったドラマだよ。

柴咲コウのろうヒロインは、
20歳くらいで中途失聴したにもかかわらず、日本手話がうますぎる。
実際には、中途失聴の人は日本語対応手話が多いんだよ。
中途失聴した歳に関係があり、つまり小さい頃に失聴した人と、
大人になって失聴した人では手話が違うんだよ。
それに大きくなって失聴したのに、声が出せないというのもおかしい。

そして何よりも、
手術をさせてでも何がなんでも健聴のようになることが良い、
ろうは不便で良くないという母親の押しつけた考え方。
そして、『聴こえないことは、可哀想』というセリフ。

ろうは可哀想なんかじゃない、幸せだよ、
良いよという考え方の人もたくさんいるんだよ。
実際に健聴の作るイメージで、
ろうは不便、不幸、暗いって、言われることも多いよ。

他にも『愛してると言ってくれ』でも、
豊川悦司のろう主人公は、
周囲との会話の中で、口形や口話読み取りが、
ありえないくらいすごすぎる。
オレ、サッカーやっていたとき、
回りの健聴から聴こえなくても、口形や口話読唇術で読み取れるんでしょ?』と言われたよ。
いやいや普通はそんなことなかなか出来ないよ。

ドラマが人気になると同時に手話が流行ることは良いことだし、とても嬉しい。
でも、手話のわからない人も見るわけで、誤解や勘違いも本当に多いよな。

聲の形』もそうだし、
『愛してると言ってくれ』や『オレンジデイズ』も、
ろうのイメージって、
大変で苦しい暗いってイメージが多いのも問題を生むんだよ。

ろうでも普通に出来るんだってことや、
明るいし苦しくないんだっていう風にドラマを作った方がいいんじゃないかな?
ま、オレの感想だけどね!

今までのドラマ、悪いだけじゃないよな。
そのおかげで手話が広まったりと、すごく良い影響もたくさんあるよ!
テレビドラマ見て、手話教室に来てくれたりと、架け橋となってくれる。
これからも手話が普及して広まっていってくれたらいいなと思ってるよ。

オレ、ドラマの手話指導の経験があるから、テレビの裏側も見ることができた。
監督、脚本家、製作スタッフなどいろいろの担当があるよね。
良い作品を作るために、
みんなで真剣に意見を交わしあい相談して1つの作品を作り上げている。

でも、ドラマと実際の現実とは、ズレがあるんだよ。
結局、ドラマを面白くするために、
イメージとか見てわかりやすいなど、
かなりデフォルメされて作られている部分があるんだよね。
そういうことで、かなり設定にムリが出てくる。

もちろん手話関係だけの話ではなく、
警官や医者、弁護士ドラマなんかにも言えることだ。
100%そのままではドラマにはならないから、
現実と空想を混ぜて作られているんだよね。

いろいろな人生を切り取り、
経験や空想、想像力を駆使し、話し合いそして良い作品を作り上げるのは、
それはそれで素晴らしいことの1つでもある。

人の長い人生を短く面白くまとめるために必要なことだからね。

ドラマ見て、自分の生活や、人生、疲れ、悩みなどに重ね合わせ、
ドラマが参考になるときってあるよね。

ドラマの中の経験がヒントになることもある。
人生についても学べるよな。

今後、もっと手話が広まり世の中に普及し、
ろうと健聴が自然と出会える環境になるといいなと思っているよ。


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