花井盛彦の日記

HANAIプロダクション・NA花井盛彦手話教室 代表 手話アーティスト

盛彦コラム #9 引越し

前回のコラムでさ、
引越しの話はまた今度するよと書いたよね。
今日は、その引越しについて話すよ。

誰だって引っ越しは大変だよね。
でも、オレの場合は、ただ引っ越しが大変ということだけじゃないんだよ。

今回、ろうって本当に不便だってことを思い知らされた。

オレさ、以前も引越しの経験あるから、
ろうの不便さや大変さはわかってるし、
まわりからも大変さを聞かされているからよくわかってるんだよ。

それでもそれでもだよ、やっぱり大変だったよ!!

以前はろう者の認知度が低かったけど、
今はだんだんと広まり、
世間のろう者に対する認識度が変わってきたのもわかる。

でも今回、自分が物件探ししてみて、
現実はまだまだなんだということを痛感したよ。
理解できないことがたくさんあった。

不動産屋、大家、管理会社、保険会社といろいろなところで、
ろうに対して理解がないためにあちこちで問題が起こるんだよ。

例えば、ろう者に対して大家はOKだったとしても、
管理会社がダメだったり、逆に管理会社がOKでも、
大家が嫌がったりと…
本当に物件探しは大変だった。

オレさ物件の条件があるんだ。
この歳まで仕事を一生懸命頑張ってきたのだから、
やっぱりいいマンションとかおしゃれなマンションを探したいなって気持ちがあるよ。

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以前は、部屋はキレイという他に最低限、
風呂とトイレは別というぐらいの条件で、
他はなんでもよかったから、物件探しも大変だったけど、
まぁまぁなんとかなった。
でも、おしゃれなマンションを探したいと思っても、
ろうというだけでさ、選べる物件なんてほとんどないんだよ。
不動産屋は、条件にこだわらなければ探せるかもと言っていた。

なんで…ろうというだけで、自由がないの?
ろうだって、みんなと同じだよ、自由に好きなように探したい。

なぜろうだとダメなのか?と聞くと不動産屋も黙りこんでしまう。
「いやいや…こちらの問題ではなくて…
他のところでダメと言われてしまうので…。」と慌てて弁解、言い訳してたよ。

早く引越したいのに全然決まらず、
2ヶ月もずっと探しているとストレスもたまりイライラしてくるし
本当に大変だったよ。

オレさ、両親もろうなんだ。

不動産屋が
「あなたはろうだけど、ご両親はどう?」と聞くから、
両親もろうだと答えると、大抵は審査に落ちるんだよ。
他のご親戚はどうなの?ってそんなことまで聞かれたよ。

一番驚いたことがさ、契約の時、
健聴のご親戚の名前でご契約はどうでしょうか?」って…。
はぁ?それちがうでしょ。契約者はオレだよ!
契約するのはオレ自身がいいに決まってる。
誰かに責任とか迷惑などかけるわけにはいかないんだよ!

もう本当に想像以上の大変さだったよ。

現状を見てみて、昔も大変だったけど、
現実はやっぱり今も昔も変わらず大変だったよ。

その時、本当にろうってつくづく嫌だって思った。

本当に今回のひどい体験で現実に直面し、自分の目で現状を見てみて、
へぇー。なるほど…ね…
と思うことがたくさんあったな。

マンションの審査に落ちたことは残念だったけど、 
今のマンションもまぁまぁオシャレだし、 
とにかくやっと物件が決まりホッとしたよ。

満足しているかと言えば…うーん…微妙だけど。

マンションの審査に落ちた事が残念とかいう問題じゃなくて、
あちこちで『ろうはお断り』という状況だったことに対して、ショックだったんだよ。
そういうことを含めて…心境は複雑なんだ。

不動産会社、大家、管理会社、保険会社など
みんな、もっとろうに対して、理解がほしいよ。

そして今後、健聴社会にもっともっと手話が浸透していってほしい。

それが今のオレの切なる願いだよ…。


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