花井盛彦の日記

HANAIプロダクション・NA花井盛彦手話教室 代表 手話アーティスト

盛彦コラム #3 歩みよる大切さ

手話を教えていると、いろいろな人と出会う機会がある。

性格、環境、人生、感じ方…みんなそれぞれだ。

ある日の話。
ひとりの男性がみんなの前で話をした。
その話を聞いていたみんなの反応は様々だった。

え?それまじで?
ありえないから!
なしでしょ!

と、その人を変な人だと言わんばかり。

そんな状況を見て思うことは…。

バカみたいという反応をされた人は、傷つき、
 『俺って変なのか?』と感じるだろう。

いや…そうではない。

そういった反応を示した人の理解力がたりないのだ。

同調や共感する必要は全くない。
でも…
『そういう事も、もしかしたらあるかもしれないね』と、
理解しようと歩み寄る事が大事なのではないのかな?

別々の環境で育ってきたのだから、
人の経験値や考え方は、人それぞれだよね。

それを『変』と『ありえない』でくくるのではなく、

『そっか、その人はそう感じたんだな、そういう見方もあるんだね』
と、想像力と理解力を磨くことが大切だよ。

自分の経験にないことを想像することは難しいよね。
でも、想像を越えるようなことも、現実にあるのだから。

相手に壁を作ったら、それ以上、コミュニケーションをはかれないよ。
コミュニケーションがスムーズにいけば、
相手との関係もより良くなり、深くなれる。

自分だけの考えで相手を変な人と決めつけたら、
そこで終わってしまう。

自分の世界も、決して広くはならないよ。

それだけじゃない。

自分だけで盛り上がり興奮して自分の世界に入り込みすぎて、
相手を忘れてしまうことも問題だよ。

冷静に、相手の考えや人生をいろいろと想像すること、重要だ。

手話も同じなんだよ。

手話の技術を求めても上達はしない。

相手の気持ちを想像しながら手話表現を工夫し、
コミュニケーションをすること、それが一番の上達の近道だよ。

手話が上達しないという人は、そこに問題があると思う。

勉強して習得することが、手話の上達ではなく、
相手に対する対応力や、理解力、想像力を磨くことが本当に大事なことだよ。

コミュニケーション能力が低い人でも、
いろいろな人に出会い、自分の世界を広げ、
工夫し磨いていけば大丈夫だよ。

コミュニケーション能力は、必ずアップする!

オレ、ろう学校だったから、
健聴者というと文化祭でちょっとみかける程度しかなかった。

その後、サッカーという夢、目標ができ、
健聴者と仲良くなることも必要となった。

しかし健聴者のことは、よくわからなかった…。

手話はムリだし、筆談は時間かかるし、文化も違う。

その頃は自分の事でいっぱいいっぱいで、
相手の事を考える余裕もなかった。

とにかく、サッカーの為、仲間になるために、
いろいろな工夫をし、
その中でたくさんの事を見つけた。 

そして気づかせてもらった。

健聴の世界に対するイメージかわったよ。
今まで勝手に作りあげたイメージだった…。

いろいろな人がいるのだから、
会ってみてそして自分で見極めなきゃいけないよね。

噂を信じて、イメージを勝手に作り上げるということは、
怖いことだよ。

噂を信じないで会ってみること。

会ってみたら全然イメージと違ってた…ということもあるよね?

会ってみて、コミュニケーションしてみればいいよ。
そうすればわかる。
思いこみほど怖いことはないからね。

子供の頃、オレ、サッカーやりたいと両親に懇願した。

親は、『どうせすぐ飽きるんだから。性格的にムリ。ろうなんだから。』と言った。

その後、成長したオレは、
飽きるどころかサッカーに夢中になり、ずっと熱中してた。 

そんなオレを見て、両親は驚いていたよ。

両親さ、オレが小学校の頃、
オレの気持ちをわかってるかのように、先生と話していた。

違うよ!全然、合ってない!

両親は『子供だからまだわからないんだよ。大人になったらわかるから。』
と言っていた。 

オレ成長し、大人になったけど、
その時の両親の言っていたことは、いまだに理解できないよ。

自分の思い込みの物差しで人をはかるのではなく、
一人一人を見て、相手の本当の気持ちを理解することが大切だと思う。

その人の性格や気持ちがわかると手話も読み取りやすくなる。
相手が伝えたいことも理解しやすい。

ただし、いつも同じイメージを押し付けるのはダメだよ。
人は成長するし、気持ちにも波があるからね。

そして、人には意外性という面もあるということも、
忘れてはならない。

手話は勉強ではなく、言語なのだから。
人と人をつなぐ、伝達のツールなんだ。

相手の事を思いやる理解力、想像力、コミュニケーション能力が、
手話には必要だということだ。

それが大事だと、オレは、思う。


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